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毎月のプロパンガス料金を下げるためにガス事業者を変更するとき、どのような契約が理想的なのでしょうか?
プロパンガスの料金形態はガス事業者によって異なるため、よく調べずに契約すると、いまより高い請求が来てしまう可能性があります。

また、ガス事業者や契約内容を乗り換える際、高額な違約金が発生してしまっては困りますよね。
ガス料金を安く抑えていくためには、自分のライフスタイルに合ったプロパンガス会社やサービスへの乗り換えを行い、節約のための知識を深めることが何より重要です。
特にメリット・デメリットを把握したうえでガス会社の比較検討ができると、より納得のいくお乗り換えができるでしょう。

そこで、今回はプロパンガス会社を変更するときに起こりやすいトラブルとその対処方法、また、プロパンガス会社を変更するときにかかる費用について詳しく解説します。
ガス自由化に関連する基礎知識や事業者選定時の比較検討ポイントについても触れていくので、ぜひ参考にしてください。

ガス事業者を変更する際に起こりやすいトラブルや費用について理解が深まることで、自分のライフスタイルに合ったプロパンガス会社を見極められ、ガス代を今より賢く節約していくことができるでしょう。

プロパンガス会社を変更するときに気を付けたい解約時と契約後のトラブル

解約時のトラブル1:「無償貸与契約」は実は無償とは限らない

ガス会社を変更する際、解約や変更に伴う大きな費用がかかってしまっては困りますよね。
損することなくプロパンガス会社を変更するには、想定外の費用が発生しやすい無償貸与契約について理解を深めておくことが大切です。

無償貸与契約とは、プロパンガス設置のための配管工事費用や給湯器などの設備費用をガス会社が負担してくれる契約のことをいいます。
また、負担してもらった場合、多くはそのガス会社から一定期間(契約期間の定め・10年~15年)プロパンガスの供給を継続するという内容も含まれています。
新築の戸建住宅や集合住宅(マンション・アパート)の建築時は、ガス設置にかかる費用を抑えやすいため、施主や大家さんにとってメリットとなりやすいでしょう。

ただし、無償貸与契約は費用がすべて無料になるわけではないため、注意が必要です。
無償貸与と聞くと工事費用や設備費用がすべて無料になるものだと捉えやすいですが、実は配管工事費用や設備費用は毎月のガス代に上乗せされて回収されている場合がほとんどです。
工事費用、設備費用がガス料金に上乗せされている

また、上乗せ額はプロパンガス1立方メートルあたり20~50円(税抜)ほどが一般的です。
無償貸与の費用に相当する金額が回収された後も上乗せ分を値引きしないガス会社が多くあります。
そのほか、無償貸与契約で注意しておきたいポイントは契約期間です。無償貸与契約では、契約期間内にお客様の都合で契約解除を行うと無償貸与に該当する費用のうち、未回収分の費用がまとめて請求されるケースがあります。

つまり、無償貸与契約の契約内容に納得ができず後から解約をしようとしても、契約期間中の解除ではローンのように残った費用が請求されてしまうということです。

未回収分の費用が請求されることも

そのため、無償貸与契約を結ぶ際は契約内容や契約期間を事前に確認しておくことが大切といえます。
次は、「プロパンガス契約で消費者の所有権となる設備にはどのようなものがあるのか」について解説していきます。

解約時のトラブル2:賃貸住宅でも対応可能?どこまで管理してくれる?

プロパンガス契約を解約する際、違約金の支払いなどで配管設備の所有権をめぐったトラブルが増えてきています。
配管設備にはLPガスボンベやガスメーターなどがありますが、設備は供給設備と消費設備に分けられます。

プロパンガス契約を結ぶ際は、「設備の所有権がどのように分類されているか」について事前に確認し、解約時のトラブルを未然に防止していきましょう。
以下では、供給設備と消費設備の一般的な振り分けをまとめました。

供給設備に分類されるもの

供給設備とは

  • ガスボンベ(LPガス容器)
  • ガスメーター
  • 圧力調整器
  • ガスメーターまでの供給管

消費設備に分類されるもの

消費設備とは

  • ガスコンロ
  • ガスの元栓、ゴム管
  • ガス警報器
  • 煙感知器
  • ガスファンヒーター
  • ガスメーターにつながる住宅内部の供給管
  • ガス給湯器

契約内容や所有権についてはガス会社と交わした契約書から確認できますが、具体的には契約書のどこ(どの項)を見ればいいのでしょうか?
次は、プロパンガス会社との契約書について詳しく解説します。

解約時のトラブル3:プロパンガス会社との契約書。その目的は法的拘束力を持つ契約の締結

プロパンガスの契約を結ぶとき、契約書に署名や捺印を求められるケースもあるでしょう。
後悔をしない契約を結ぶためには、契約書がどのような効力を持っているのかを知り、重要な項目を見落とさないよう確認することが大切です。

契約書はポイントを押さえて確認しましょう。

「契約書」「液化石油ガス法14条書面」とは

プロパンガス会社と交わす契約書は正式名称を「液化石油ガス法14条書面」といい、書面に記載された条項は法的な拘束力を持ちます。
契約書に署名や捺印をした時点で消費者は契約内容に同意したものとみなされてしまうため、疑問点や説明を受けていない条項がないか、よく確認しましょう。
液化石油ガス法14条書面では、具体的に以下のような内容が明記されています。

  • プロパンガスの種類や契約期間
  • プロパンガスの引き渡し方法
  • プロパンガス会社が定める料金制度や料金に対する考え方など
  • 供給設備と消費設備の所有関係
  • 設置や変更、修繕や撤去にかかる費用の負担方法
  • 消費設備をプロパンガス会社が所有している場合の料金や支払い方法
  • 契約解除時、消費者が消費設備料金を支払う場合の金額や算定方法
  • 消費者、プロパンガス会社、保安機関の保安上の責任

契約書の内容は、その多くが重要な事項ですが、特に注意しておきたいポイントは主に以下の4つです。

  • 契約期間
  • 料金設定
  • 所有関係
  • 契約解除時にかかる料金

万が一、ガス業者に不安な点があれば、クーリングオフ期間内に慌てずに契約解除を申入れしましょう。
契約書で確認が必要な項目について理解しておくと、契約後のトラブルを未然に防ぐことにつながります。
では、契約後に起こりやすいトラブルにはどのようなケースがあるのでしょうか?

契約後のトラブル4:不当なガス料金の値上げに合わないようにするには、契約書の確認が大事

契約後のトラブルとして起こりやすいことは、不当な値上げによるガス料金の高騰です。
ガス会社を変更した後に不当な値上げが行われると、結果として以前より高いガス料金を支払わなくてはならず、本末転倒となってしまいます。
ガス会社を変更してガス料金を安く抑えるためには、契約時に以下の3つのポイントを押さえておくことが大切です。

1.自由料金制に対する理解

プロパンガス業界は自由料金制によって料金が決められ、これはガス販売店が価格を自由に設定できるということが特徴です。

2.契約時の従量単価が安過ぎる場合は注意!今後値上げリスクあり

安い料金を掲示するガス会社は、値上げのリスクがある

契約時に従量単価が安過ぎると、プロパンガス会社の利益や損失を補うために急な値上げをされてしまう場合があります。
プロパンガス料金が高いか安いかを判断するには、複数のガス会社から料金表をもらったり、ガス料金の見直し診断を活用したりすることがおすすめです。契約時、あまりにも安い料金設定をしているガス会社には注意しましょう。

3.ガス料金が値上げされるタイミングは正当か

ガス会社との契約書にはガス料金の記載がありますが、取引適正化ガイドラインでは、原則として変更後の販売価格の適用が開始される日の1か月前まで(販売価格を引き下げ る場合及びあらかじめ一般消費者等との間で液化石油ガスの使用量に応じて発生する料金を液化石油ガスの輸入 価格等の変動に応じて変更する旨の契約を締結し当該契約に基づいて当該料金を変更する場合には、遅くとも変 更後の販売価格の適用が開始される日の前まで)に、一般消費者等に対して、検針票又は請求書等に変更後の 販売価格及び変更する理由を記載して通知するか、検針票又は請求書等に変更後の販売価格及び変更する理由 を記載した書面を添付して通知する必要があると記載されています。それに乗っ取った対応をしているガス会社かどうかも重要です。

契約後のトラブルに見舞われないためには、「従量単価が安い」という理由だけで安易に変更するのではなく、料金表や契約書を事前に確認することが欠かせません。また、家族への相談も忘れないようにしましょう。
契約後に起こりやすいトラブルとその対処方法がわかったところで、次は具体的に発生する費用について見ていきましょう。

プロパンガス会社を乗り換える時に発生する費用とは?

変更時に現在のガス会社より請求される?解約金、違約金、撤去費用の相場は5,000円~10万円以上かかる場合も

ガス会社の変更時に費用が発生する場合、どのような費用が発生し、どのくらいの金額がかかるのでしょうか?
以下では、代表的な費用と金額の相場をまとめました。

発生する費用費用相場ポイント
解約金5,000円~1万円会社によって解約金の有無や金額はさまざま
違約金5万円~20万円・無償貸与契約で発生しやすい費用
・残存する契約期間によって金額が異なる
・(20万円ほどの工事費用を15年で減価償却する契約が一般的)
撤去費用1万5,000円前後・設備の撤去にかかる費用
・供給設備の撤去費用は無償で行うガス会社が多い
・地域によって相場が異なる場合もある

※「費用相場」は全て税抜の相場価格です。

ガス会社によって解約金、違約金、撤去費用の有無や金額は異なりますが、いずれも契約書の確認やガス会社への確認をすることが不当な料金請求を防ぐことにつながります。
次は、違約金の支払い方法について理解を深めていきましょう。

違約金の清算方法

ガス会社を乗り換える際に発生した違約金は、以下の方法で支払うことになります。

変更前のガス会社へ自分自身で清算する

契約期間の残存年数によっては高額な違約金を請求されてしまう場合もあります。
しかし、不当なガス料金を毎月支払っていくことを考えると、違約金を精算してでも他社へ変更したほうが将来的なトータルコストを節約できる場合もあるでしょう。

新規ガス会社に負担してもらう

契約年数が浅い場合などで高額な違約金を請求されてしまった場合、新しいガス会社がこれまで契約していたガス会社との違約金を負担してくれる場合があります。

新規ガス会社が違約金を負担してくれることも

このようなサービスを活用すると、契約解除時の急な出費を免れることも可能です。
ただし、違約金を負担してもらう場合は、以下のような点に注意してください。

  • 違約金が高額すぎると引き受けてもらえない場合がある(これまでの契約年数が5年未満だと難しい)
  • 負担した費用は毎月のガス料金に上乗せされるため、料金が高くなりすぎないか確認しておく
  • 新規ガス会社と新規の貸与契約を結ぶため、契約期間を確認しておく

新規の契約で後悔してしまわないためにも、契約書の内容やガス会社の信頼性を見極めることが大切です。

まとめ

最後に、プロパンガス会社を変更する際に心得ておくべきポイントをおさらいしましょう。

  • 無償貸与契約は無償ではなくリースやローンのようなもの
  • 「設備の所有権がどのように分類されているか」を確認し、解約時のトラブルを未然に防止
  • 不当な値上げによるガス料金の高騰がないか、料金表や契約書を事前に確認
  • ガス会社によって解約金、違約金、撤去費用の有無や金額は異なる
  • 違約金をガス会社に負担してもらった場合は契約期間中のガス料金に注意する

プロパンガス業界は、電気や水道、都市ガスなどの公共料金とは異なる業界です。
プロパンガス業界に関してさらに詳しく知りたい方は、プロパンガス(LPガス)の協会団体の概要と特徴について知識を深めていきましょう。