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賃貸物件(アパート・マンションなど)のプロパンガス料金は高い傾向にあるといわれています。その理由は、都市ガスの自由化によるプロパンガス業界の変化と流れにあります。
また、賃貸ではプロパンガス会社を自由に選択できないので、ガス会社の変更には大家さんとの交渉が必要です。

そのため、集合住宅の入居者は相場価格以上のガス代を請求されやすく、節約に追われてしまう方も大勢いるでしょう。
毎月のガス代を安く抑えるためには「引越し」「値下げ相談」などさまざまな方法がありますが、まずはガス料金の相場や平均単価を知って、自宅のガス代と比較することが大切です。

ガス料金が高いと感じていて見直したい方は、この記事と合わせて、費用を素早く調べられる「ガスリサーチの見直し診断」を利用してみましょう!

アパートなどの賃貸物件のプロパンガス料金は高い?相場はどのくらい?

賃貸のプロパンガス料金には設備費用が上乗せされているから高い

賃貸の場合、プロパンガスの設置費用が入居者のガス料金に上乗せされていることがあります。
これは、多くのプロパンガス会社が「無償貸与(設置費用の大半をプロパンガス会社が負担)」しているためです。

 

無償貸与は大家さんの費用負担がないため導入しやすく、初期費用を安く抑えたい大家さんは都市ガスよりもプロパンガスを選ぶ傾向にあるようです。
また、プロパンガスを選んでもらえるよう契約時に給湯器やエアコンをサービスしているガス会社もあります。

このようなことから、大家さんが全ての工事費用を負担しなければいけない都市ガスと比べ、プロパンガスは大家さんにお得なガスといえます。
しかし、大家さんは入居者のデメリットまで把握して、プロパンガス会社と契約を結んでいるわけではありません。プロパンガスの無償貸与が入居者に大きなデメリットとなることも知っておきましょう。

取り付けにかかる費用は後から入居者へ請求され、毎月のガス代に上乗せする形で回収されています。
さらに、上乗せされる料金については説明されない場合がほとんどで、設置費用を回収した後もガス代が値下げされることは、まずありません。

都市ガスと比較してプロパンガスが高いといわれやすいのは、入居者が知らないうちに設置費用の上乗せ分も支払っているという流れがあるからです。

賃貸のプロパンガスは入居者がガス会社を選べないから高い!

賃貸アパートの入居者は、プロパンガスの料金が高くても勝手にガス会社を変更・選択することができません。
戸建ての場合は、ガス会社と直接やりとりをして契約に至るため、ガス料金やサービス内容を比較検討しやすいですが、賃貸の場合はそうはいきません。

賃貸の場合、ガス会社との契約・変更を大家さんが行うため、入居者にはガス会社を直接変更する権利そのものがないといえます。

そのため、大家さんには知らせず不適切な料金設定や徐々に値上げする悪質なプロパンガス会社も存在しています。契約を変更するにはまず大家さんとの交渉が必要です。
このようなことから、引越しの際はガス会社を自分で契約できないということを頭に入れて、検討中の物件が契約しているガス会社やサービス内容を確認するよう心がけましょう。

地域ごとにみるプロパンガスの相場料金

地域ごとにプロパンガスの相場料金が異なることを知っていますか?
同じプロパンガスでも相場料金が変わってしまうのには、ガス会社が自由に価格を決められること地域によって人口が違うことが大きく関係しています。

たとえば、人口が多い地域はプロパンガス利用者が多く、ガスの配送にコストがかかりにくいことから価格競争が激しい傾向にあります。
一方、人口が少ない地域では配送コストがかかるうえにプロパンガス利用者も少なく、価格競争は起きにくいと言えます。

このように、ガス会社は地域の特性に応じて価格設定を行うため、住んでいる地域によって相場料金もさまざまです。

そこで、石油情報センターのデータを参考に主要エリアの平均価格をまとめました。

2017年10月末時点 主要エリアの平均価格
北海道東北関東中部近畿中国四国九州沖縄
基本
料金
2,107円1,845円1,751円1,842円1,863円1,934円1,832円1,808円1,730円
20㎥
使用時
16,489円14,314円12,096円12,311円12,576円13,276円12,735円12,681円13,162円
1㎥
当り
約719円約623円約517円約523円約535円約567円約545円約543円約571円

(※金額は税込価格です)

また、ガス会社や契約内容によっては、同じエリア内でも基本料金や1㎥あたりの単価(従量単価)に大きな開きがあります。

2017年10月末時点 主要エリアの平均価格(基本料金)
北海道東北関東中部近畿中国四国九州沖縄
最高2,484円2,592円2,830
2,484円 2,580円2,376円 2,224円2,430円2,095円
最低1,134円1,200円      841円1,155円    810円1,026円    970円   600円1,080円
2017年10月末時点 主要エリアの平均価格(従量単価)
北海道東北関東中部近畿中国四国九州沖縄
最高約949円約868円約768円約792円約766円約753円約740円約747円約638円
最低約342円約339円約290円約319円約279円約302円約394円約349円約477円

(※金額は税込価格です)

住んでいる地域によって価格が大きく異なることから、まずはガスの料金相場を正しく把握することが大切です。
自分の地域の平均的な料金を知るには、毎月のガス代と比較できる「ガスリサーチの見直し診断」を利用するのがおすすめです。

都市ガスの自由化が与えるプロパンガスへの影響

2017年4月から導入された都市ガスの自由化により、プロパンガス業界の価格競争は今後激しくなることが予想されます。
価格競争が激しくなるほど、ガス料金には確かな差が生まれるため、プロパンガスを利用する方も自分のことだと認識して、ガス会社の比較検討を行っていきましょう。

しかし、「都市ガスの自由化なのにプロパンガスの料金に関係があるの?」と疑問に感じる方もいるのではないでしょうか?そこで、都市ガスの自由化がプロパンガス業界へ与える影響を分かりやすく解説します。

プロパンガス業界は、過去に自由化が行われていますが、目立った価格競争がほとんどありませんでした。
これは、プロパンガス業界が地域独占(価格競争を行わなくても地域に根付いたガス会社が一定の顧客を得ること)によって生き残ってきたためです。

しかし、都市ガスの自由化により、消費者はガス料金に対してシビアな目で比較検討できるようになりました。
今まで地域独占で価格競争をしてこなかったプロパンガス業界は、今後顧客獲得が難しくなっていくでしょう。

このようなことから、プロパンガス会社が顧客を獲得するには、都市ガスに対抗できる価格設定やサービス強化が必要不可欠です。
多くの方が知るように、都市ガスはプロパンガスより低価格で利用できるため、今後はプロパンガスの価格水準も都市ガス同等、もしくはそれ以下となっていくでしょう。

また、都市ガスの自由化は、ガス会社でなくても都市ガスの小売り販売を可能とする政策です。
都市ガスの低料金なイメージを強みにして顧客を獲得できるよう、プロパンガス会社も都市ガスの小売りに参入し始めています。

今まで価格競争が少なく、古い慣習が残るプロパンガス業界でしたが、今後は都市ガスの自由化による価格競争で、消費者にとってうれしい改革が進みます。
これまで料金設定やサービス内容を確認していなかった方も、この機会に契約しているガス会社の情報に目を向けてみましょう!

プロパンガス会社は大家との契約内容を賃貸の入居者へ説明義務化

2017年6月1日に改正された液石法施行規則により、プロパンガス会社は大家さんとの契約内容を入居者へ説明することが義務づけられました。
この背景には、都市ガスの自由化や不透明なプロパンガス小売価格に消費者からの指摘が多かったことなどが関係しています。
以下では、経済産業省資源エネルギー庁の発表を参考に、液石法施行規則の改正について分かりやすくまとめました。

1.液石法施行規則の一部改正
ガス料金に上乗せして請求するもの(リース機器料金など)がある場合は、入居者に対してその金額や内訳を明確に伝えることを義務化します。
入居者がガス会社に問い合わせた場合は、ガス会社は必ず返答しなければいけません。

2.液石法施行規則の運用・解釈通達の一部改正
1の通達が義務であることを液石法が定める交付書面で明確化するとともに、入居者へは交付書面と同様の内容を書面で通達することが原則となります。
また、入居者がガス会社を変更する際に設備撤去にまつわるトラブルを未然に防げるよう、ガス会社は液石法について明確に説明することを義務づけられます。

3.液化石油ガスの小売営業における取引適正化指針の制定
プロパンガスを安心安全に選択できるよう、ガス会社は以下の事項をホームページや店頭で公表することが義務づけられます。

  • 料金メニューや平均的な月額料金例
  • 液石法が定める書面を交付する際に入居者が支払う費用について
  • 入居者に対するガス料金の値上げやその理由の事前通知
  • 入居者からの苦情や問い合わせに対する適切かつ迅速な対応

これら液石法施行規則の改正により、賃貸入居者は今まで知り得なかったガス料金の内訳を把握できるようになります。
不透明だった賃貸のプロパンガス料金が透明化されることで、今後は不適切な価格設定やサービスは是正されていくことになるでしょう。

また、悪質なプロパンガス会社と契約してしまうリスクも大幅に軽減されます。
言い換えれば、ガス料金についての説明が義務化されたことは、入居者が今後より良い条件のガス会社を選びやすくなるということです。
引越しの際は、この度の改正内容も視野に入れて信頼できるガス会社を選んでみましょう!

賃貸アパートでのガス料金の値下げ交渉

賃貸でのプロパンガスから都市ガスへの切り替えは難しい

毎月のガス代を安く抑えるために、都市ガスへの変更を検討している方は多いのではないでしょうか?
しかし、賃貸の場合はガス会社の契約権を大家さんが持つため、プロパンガスから都市ガスへの変更は難しいでしょう。

また、すでにプロパンガスを利用している賃貸では都市ガスの導入に10万円以上の高額な設置費用が必要となります。
大家さんの多くはプロパンガス会社から設置費用の無償貸与や設備リース(エアコンや給湯器など)などのサービスを受けているため、よほど良心的な大家さんでない限りプロパンガスから都市ガスへの変更は厳しいといえます。

そのようなことから、ガス料金を安くしていくには大家さんが納得してくれる相談・交渉を行うのが大切です。
入居者の都合ばかりでなく大家さんの負担も考慮して、同じプロパンガスでも会社によって料金が異なることを伝えてみましょう。大家さんによっては、別のプロパンガス会社への変更なら検討してくれる可能性があります。

プロパンガス会社変更・値下げには大家さんとの交渉が必要

プロパンガス会社の変更には、ガス会社の契約権を持つ大家さんとの交渉が必要です。
そこで、プロパンガス会社の変更・値下げの交渉を成功させるために伝えるべき重要なポイントを紹介します。

 

(1)プロパンガスの相場料金を事前に確認しておく
相場料金との現在支払っているガス料金の差額を具体的に伝えることで、高額なガス料金が家計・生活の負担になっていることをアピールできます。

(2)転居も検討していることをしっかり伝える
顧客離れは大家さんにとって赤字に直結するため、ガス会社の変更を検討してもらいやすくなります。

(3)他の入居者と協力する
集合住宅で他の入居者の意見も集められれば、「個人の苦情ではないこと」をアピールでき、問題視してもらいやすくなります。

(4)署名などを集めることも効果的
確実な証拠となるため、口頭よりも説得力が増します。

(5)大家さんの手間にならないことを伝える
大家さんの負担を考慮した交渉なら、経営者の視点で考えても検討しやすくなります。

6)残存料金を払ってくれるガス会社もあることを伝える
契約変更に伴って発生する費用(設備リースの残存費用や手数料など)は大家さんにとって大きなネックとなります。そのため、費用負担がないことを伝えられれば前向きに検討してもらえるでしょう。

大家さんとの交渉には時間や手間がかかるのは確かですが、一歩踏み出すことでガス料金を大幅に値下できる可能性があります。

闇雲な交渉は大家さんからの反感を買ってしまうためおすすめできませんが、上に挙げた効果的な交渉材料を交えられれば、交渉する価値は大いにあるといえるでしょう。
毎月のガス料金に疑問や負担を感じているなら、まずは自分のガス代が相場料金と比べてどれほど高いのか確認してみましょう!

まとめ

賃貸のガス料金は高い傾向にありますが、賃貸に住む単身世帯や核家族が増加する近年では、「高いのが当たり前」といった風潮も見られます。
しかし、相場料金を大幅に超えたガス料金を決して当たり前と思ってはいけません。最後に、賃貸のプロパンガス料金が高い理由や大家さんへの交渉など、押さえておくべきポイントをおさらいしましょう!

  • 賃貸物件(アパート・マンション)のプロパンガス料金が高い傾向にあるのは「設備費用の上乗せ」「入居者がガス会社を自由に選べないこと」が関係している
  • 都市ガスの自由化がプロパンガス業界へ与えた影響により、今後は都市ガス同等もしくはそれ以下の価格でプロパンガスを利用できる可能性が高まっている
  • 賃貸でガス料金の値下げ交渉を行うには、大家さんに対して「相場料金との差額」「高額なガス代請求による入居者の不満」「大家さんにかかる負担の少なさ」を重点的に伝える

大家さんと円満な交渉を進めるためにも、まずは自分のガス料金を見直して相場料金と比べておきましょう。どれだけ高いのかを明確にすることで、ガス会社を比較検討する際にも役立ちます。